3 御木国のくぬぎ
景行天皇十八年七月四日の条には、阿蘇に続いて筑紫に行かれたことが書かれています。
天皇は阿蘇から筑紫(ちくし)の国・御木(みけ)(福岡県大牟田)高田の行宮(かりみや)に入られました。
そこには倒れた木があって、長さ九百七十丈(約二千九百四十メートル)あったといいます。
役人たちは、この木を通って役所に通ったのです。
天皇は、「この木は何の木であるか」と老人にたずねられました。
「この木はくぬぎといいます。昔、この木が立っていた時は朝の日がさすと、杵鳩山(杵島岳)をかくし、夕日の光で阿蘇山をかくしていました」
と答えると、天皇は「この木は神様の木である。だから、この団を御木国(けのくに)と呼びなさい」と言われました。