蕎麦切の話を少々
そばは単純、
華やかさもない、
地味な食べ物、
決して主役になり得ない。
そんな蕎麦を打ち、蕎麦を切る、
男達を夢中にし、駆り立てる。
粉と対峙する時から真剣勝負。
ほのかな香りが冒険心を鼓舞し、
粉との戦いの場に誘う魅力がある。
微妙な香りと味と食感の追求。
粉に水をまわし、こねて、のばして、切る。
容易につながらない、
加水量をちょっと誤ればすべての努力は水泡に帰す。
温度や湿度にも敏感、日によって、時間によって変る代物、
失敗は許されない。
それでも奥義を究めようと再三挑む。
よりよい粉を求めて旅に出る。
蕎麦を求めてのれんをくぐり歩いて立ち合う日々。
そして自己研鑽。 心も技も・・・。
2、ソバ、蕎麦について |
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ソバは七十五日。 秋ソバ(秋新、風味が夏物より優れていると云われる)は 八月のお盆に蒔く。 通常約七十五日で収穫。 雑草より早く成長し、 害虫が孵化する前に収穫を終えるので農薬は一切不要。 蕎麦は七、三。 蕎麦の良し悪しは、七割方は粉で決まり、蕎麦打ちの技は三割の意 より良いそば粉に巡り会う事で、蕎麦は決する。 |
3、ソバの実の構造 |
外側から 果皮(外皮)、 種皮(甘皮)、 胚乳、 胚芽(子葉)、芯の部分ほぞ(へそ) |
4、ソバの栄養素のルチンについて |
最近注目され、ワインやココアに含まれるポリフェノールの一種で毛細血管を強化し脳出血や高血圧予防効果があるといわれる。 ソバの実の外層部分に多く含まれる。 標高、緯度の高い寒冷産地の物ほど多く含まれる。 ルチンは水に溶け出しやすいので蕎麦湯は欠かせない。 ちょっと小腹が空いたときは蕎麦を小粋にすする。 夜食によし、飲酒の後によし、健康によし。 |
5、そば切り隊 法度 |
一、そば切り道に背き間敷事 一、清潔を旨とすべし事 一、技術技量を研鑽せしむ事 一、己に厳しく、他に優しくすべし事 一、私の闘争を不許 一、無粋を不許 右条々相背候者切腹申付べく候也 (切腹は冗談だけど半分くらいマジかも) |
6、そば切り隊出場時装備及び心得 |
一、着装 法被(ハッピ、調理場では無用) 前掛け 頭巾の着用。 二、清潔と笑顔と親切丁寧を心掛ける。 三、道場、身辺の整理整頓を旨とする。 |
7、 そば切り隊会則 |
第1章 総 則 (名称) 第1条 本会の名称は、 そば切り隊 と称する。 (目的) 第2条 本会は、江戸前蕎麦切りの技術、風味の追求と蕎麦切りの普及啓発を目的とする。 (事業) 第3条 本会は、前条の目的を達成するために必要な次の事業を行う。 1,蕎麦切り講習会の開催 2,各地の蕎麦処の探訪 3,真の蕎麦切りの味を広く伝えるそば切り隊士による試食会の開催。 4,坂梨地区における蕎麦屋開業の支援 5,坂梨宿場會の支援 6,江戸の粋についての研究 7,前各号を会員は楽しく積極的に実行する事。 (事務所) 第4条 本会の事務所を肥後國、坂梨宿場 に置く。 第2章 会員と会費 (会員) 第5条 本会の会員は第2条の目的に賛同し、蕎麦を愛し、楽しむ事が出来る者を会員資格とし、入会の意志を表示 し入会金を支払った者を会員とする。また、退会の意志を表示したとき会員資格を失う。 A さかなし宿場會会員と世帯を同じくする家族は会員となる資格を有す。 B 会員は本会の開催する事業に参加する資格を有す。 C 会員には会員証を発行する。 D 本会の事業に参加する場合、会員証の提示を求める場合がある。 E 本会会員は次の事由により役員会の決議により除名することが出来る。 1、本会則及び会の趣旨に反する行為をなしたとき。 2、無粋な行為をなしたとき。 3、別に定める法度に背いたとき。 (入会金及び会費) 第6条 本会の入会金はつぎのとおりとする。 一般会員 金100円 さかなし宿場會会員 無料 会費は本会の行う各事業参加者から各事業毎に必要な会費を徴収する。 第3章 例会及び総会 (例会) 第7条 例会は必要に応じ開催する。 (総会) 第8条 本会の定時総会は通常毎年10月の別に定める土、日曜日の新蕎麦切り試食会を総会日と定め、ホームページで通知し別に招集の手続きは取らない。 (議長) 第9条 例会、その他の議長は、局長がこれに当たり、総会の議長は総会で選任する。 (決議の方法) 第10条 例会、総会、その他の会議の決議は、出席した会員の過半数をもって決する。 但し、特に議案等もなく、決議の必要がない場合は総会を開催しない事ができる。 (議決権) 第11条 会員は一人につき1個の議決権を有する。 第4章 役 員 (員数と選任、解任) 第12条 本会の役員はそば切り隊士と称し、局長、参謀、一番組長、二番組長、三番組長を各々1名、隊士数名を置 き、総会又は例会に於いて選任、解任する。 (役員資格) 第13条 本会の役員は、会員の中から選任する。 (最初の役員) 第14条 当会の最初の役員は、次のとおりとする。 局 長 志賀 参 謀 高木 一番組長 早川 (沖縄出張中) 二番組長 園田 三番組長 赤星 隊士 石田 隊士 松岡 隊士 石田 隊士 志賀 隊士 岩下 隊士 山口 (役員会) 第15条 必要に応じ役員会を開催する。 (役員) 第16条 そば切り隊士はその職務を誠意をもって遂行しなければならない。 以上 |
8、江戸のざる、もり、せいろなどの話 |
ざる蕎麦、もり蕎麦、せいろ蕎麦の違いについて ざるは海苔を振りかけ、もりは海苔なしとか言う人がありますが、蕎麦好きで江戸時代と現代を往復しながら活躍されていた今は亡き杉浦日向子さんによると元々は次のようです。(以下、杉浦日向子の江戸塾、PHP文庫より) お皿に盛った冷たいそばが「もり」、せいろに盛ったのが「せいろ」、ざるに盛ったのが「ざる」でした。 海苔がかかっているのは「海苔かけ」と言っていたそうですが後にごちゃごちゃになったそうです。 それから今でも「かけそば」と言いますが、江戸でもあったかい汁そばが「かけ」で、冷たいのまたはぬるいのが「ぶっかけ」でした。 江戸のそば屋で出す分量はゆであがり一人分70〜80グラム(推定)くらいと大変少ない量でした、(ちなみに、にそば切り隊の一人前はゆでる前で150グラムです。) ちょっと時間あいちゃったから食おう、っていう閑中食で、そば屋でたらたら時間を過ごすためのパブみたいなもので、うどんは忙しいときに食べた忙中食でした。 |